楽して合格したいはNG
受験において最初にやらなければならいのが志望校を決めることです。将来に向けての勉学、研究はもちろん、サークル活動や課外活動など4年間という期間をどこでどのように過ごすかということが、入学する大学によって大きく異なってきます。また、学生生活の内容だけでなく、その大学がある街やキャンパス内の雰囲気、あるいは在校生、卒業生として大学名を名乗る時の気分も変わってきます。それに伴って、合格へ向けた具体的な対策を講じる上でも早めに志望校を絞り込んでおく必要があります。
もちろん慌てる必要はありませんが、早く決めることができれば過去問を分析した上での対策に十分な時間を使うことが可能になります。そんな時、総合型選抜の志望校選びで注意しなければならないのが、消去法によって大学、学部、学科を決めないということです。自分なりの目標が無いまま「ここなら志望理由書と面接だけだから他に比べて楽そうだ」とか「他校に比べて倍率が低いから受かりそうだ」といった安易な理由から決めることだけは避けなければなりません。
自分の目標がないと必ずボロが出る
その理由として、まず志望理由書に説得力が出ないということが挙げられます。大学に行って何を学びたいかというのは、将来の目標によって決まってきます。しかしながら、入試科目や倍率によって選んでしまうと、明確な目標が曖昧であるためにその大学、学部、学科を志望する理由の具体性が伝わらなくなってしまいます。例えば、国際政治学科や国際経済学科を選択した場合、政治学科や経済学科ではなく、なぜあえて国際が付く学科を選択したのかを明らかにしなければなりません。
ところが、単に入りやすそうだからという理由で選んでしまうと、説得力のある文章が書けないことは言うまでもありません。当然、具体的にその学科で何を学びたいのかを述べることも出来なくなってしまいます。また、国際政治や国際経済を専門的に学べる大学は複数ありますが、その中でなぜこの大学でなければならないのかという点についても具体性をもって述べることは難しくなってしまいます。これでは小論文や面接の前にエントリーの時点で厳しい結果となってしまうでしょう。
面接では志望校への思いが勝負となる
仮に学校の先生や塾の力を借りて何とか志望理由書を書き上げたとしても面接で消去法によって選んだことが明らかになってしまう危険性もあります。事前に提出する文章であれば、周囲の人がアイディアを出したり、追記や添削をしたりすることができます。しかし、面接ではそうしたサポートは一切受けることができず、受験生本人が自分の言葉だけで伝えなければなりません。例えば、将来の目標や大学で学びたいことについて面接官からの質問が深まった場合、そこに自分の強い思いが無いことはすぐにバレてしまいます。
たとえ事前に準備した原稿を丸暗記して答えたとしても、そこに真の思いがあるか無いかは自然と伝わってしまうものなのです。むしろそこを厳密に審査するために面接が設けられていると言っても過言ではないのです。文章にしても言葉にしても過去に何百枚、何百人と提出書類や受験生に目を通してきた採点官なら積極法による志望理由なのか、消去法による志望理由なのか、その違いは簡単に分かってしまうものなのです。ですから、安易な道を安易な気持ちで選ぶのではなく、自分の本心に従って果敢に挑戦する気持ちを持って志望校を選ぶことが不可欠となるのです。