自分がこの大学を選ぶ理由
毎年6月頃になると各大学からその年の受験概要が徐々に発表されてきます。まずは試験日程や募集人員、試験項目といった大枠から始まり、徐々に各学部学科の詳細な試験内容が公開されてきます。それに伴って、受験生一人ひとりの志望校のピックアップも本格化してくることでしょう。しかも総合型選抜試験は専願の場合が多いですから、数ある候補の中から一つに絞り込まなければなりません。そして、最終的に絞り込むことができたら後はしっかりとした志望校研究を行うことが必要になります。
まず目が行くのが近年の受験者数と合格者数からの倍率や過去問でしょう。もちろん大切なことではありますが、もっと詳しく研究しておかなければならないことがあります。それは、他校との違いです。しかもサークル活動やイベントといった点ではなく、専門科目の授業やゼミなど学部学科の学びについて理解しておきましょう。つまり、なぜこの大学なのか?なぜこの学部学科なのか?といった点について自分なりの答えをしっかり持っておくようにするということです。
経済、経営、法学、観光、芸術などあらゆるテーマの学部学科はどこの大学にも存在します。そして、基本的な学びの内容もほとんど変わりがありません。しかし、逆に考えれば違いも必ず存在するはずです。その違いこそが特色であり、その大学で学ぶ意義であるはずです。具体的には、事前にホームページや入試案内などの資料に目を通して特色をしっかり捉えておくようにしましょう。ざっくりとした内容しか把握できない場合は、カリキュラム表を見るのも効果的です。他の大学にはない専門科目やゼミでの取り組みをピックアップして情報を書き出してみることです。そして、オープンキャンパスに参加した際、タイミングがあればその点について質問をしてみるとよりはっきりと理解できるようになります。
将来の目標と学びの結びつき
そこまで出来たら単なる情報集めだけに終わらせず、さらにもう一歩踏み込んでみましょう。それは志望校の特色と自分自身の学びとを結びつけることです。これは志望理由をまとめる時や面接での発言に説得力を出すことができます。そこで学ぶことが自分の将来の目標にどのように活きるのかを具体的に考えてみることで、志望理由が明確になってくるはずです。だから貴学に入学したい、だから貴学以外に考えられませんといったポイントまで掘り下げることができれば、採点官や面接官の問いにブレることなく応えられるようになります。
一般的な科目の試験ではない総合型選抜では、こうした学びへの強い動機づけがある受験生が求められ、評価されると言えるのです。これが志望校研究の基本であり、アドミッションポリシーにも合致する取り組みとなるのです。その上で、学外活動やサークル活動に積極的に取り組めば充実した大学生活が送れるようになってきます。中学、高校とは違って大学には「学」という文字が入っています。これは教えられるという受動的立場から自ら学ぶ能動的立場に変化することを表しています。単に倍率が高いか低いかだけではなく、何のためにその大学に入学し、どのように4年間を費やすのかを自分の言葉で語れるようにしっかりとした準備を行っておきましょう。