コラム

総合型選抜で評価されるプレゼンテーション

総合型選抜で評価されるプレゼンテーション

総合型選抜試験においてプレゼンテーション発表がある場合、「どんな点が評価されるのか?」「そのためにどのような準備をすればよいのか?」という疑問を持つ受験生は多いのではないでしょうか。近年は、小中学校からプレゼンテーションの授業が取り入れられており、人前での発表やスライド作成に取り組んだことがある受験生は多いようです。しかし、受験となると優劣が判断されて合否が分かれてしまいますから、学校の授業とは別にしっかりとした対策が必要になってきます。そのためには、なぜプレゼンテーション発表が受験項目として設定されているのか、その目的をしっかりと踏まえることが必要です。

そこで最も重要となるとなるのが、本番でしっかりとした発表を行うことです。

はっきりとした大きな声で噛んだり、言い間違えたりすることなく聴き手に伝えること、そして自分の発表に自信をもって聴き手とアイコンタクトを取りながら伝えることです。当然ですが、原稿を手に持ちながら読み上げるような発表は絶対にNGです。なぜプレゼンテーション発表をするのかというと、それは受験生の実際の取り組み方から勉学への姿勢を読み取るためです。単に内容だけで評価をするのであれば、論文形式で提出させれば済みますし、採点する側も手間がかかりません。そこをあえて時間を設けて一人ひとりに発表をさせる目的は、声、口調、姿勢、表情から与えられた課題に対してどのように臨んできたかを評価することにあります。

あらかじめ設定された試験日時に向けてどれだけ計画的に事前準備を行ってきたのか?自信をもって伝える姿勢から主体性やリーダーシップはあるか?また聴き手とのアイコンタクトからは自分だけではなく相手に配慮する意識があるか?などが表れてきます。こうした計画性、主体性、リーダーシップ、相手への配慮は専門科目の勉強はもちろん、ゼミ活動やフィールドワークでも非常に重要な要素となり、総合型選抜試験において大学側が受験生に求めていることになるのです。事前に提出するタイプの課題論文の場合、受験生本人が書いた文章に対して学校の先生、塾や予備校、両親などから様々なアドバイスが投げかけられていくらでも修正できてしまいます。プレゼンテーションでも内容に関してはこれと同じことが言えますが、最後の発表だけは本人が自分の力で頑張るしかありません。したがって、ここが大きな評価点の一つとなるのです。

そして、もう一つの大事なポイントが自分の考えを述べるということです。

私はこれまで複数の中学校や高校からの依頼でプレゼンテーションの特別授業を行った経験がありますが、その目的は個人やグループで調べたことをまとめて発表するというものがほとんどでした。具体的には、「将来就きたい職業について」「子どもを取り巻く社会問題について」「尊敬するアスリートについて」などいろいろなテーマがありましたが、その中身は世の中の事実を調べてまとめるというものがほとんどでした。しかし、総合型選抜においては単に事実や出来事、一般的に論じられている考え方をまとめることが目的ではなく、「あなたはどのように考えるか=受験生の考え」が要求されることがほとんどです。この点をしっかり意識しておかないと、出来上がってみたら学校の授業のような調べた内容だけしかないという状況に陥ることは決して少なくないのです。したがって、大学から提示された課題を丁寧に読み解いて、何をどこまで調べればよいか、どんなポイントについて自分の考えが求められているのかを正確に把握することに努めなければなりません。そして、自分の考えを明確に持ち、はっきりと伝えられることも先に述べた主体性やリーダーシップに繋がってくるのです。

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