これはダメ!志望理由書、エントリーシートのNGワード
総合型選抜、公募推薦入試で必ず必要になるのが志望理由書、エントリーシートです。出願時に提出が必要であったり、一次試験における合否判定の要素であったりするため最初に取り組むことになります。そして、その後の小論文やプレゼン発表、面接試験に進むためには、絶対にクリアしなければならない大事な関門となります。大学側からしても受験生が何を考え、何を経験し、何のために大学で学ぼうとしているのかを知る最初の情報となるため、極めて重要度の高い書類となります。また、一人ひとりの基本的な文章力と表現力を把握することもできるので、細かく採点されていることが想定されます。だからこそ受験生は最初の申込書のような軽い気持ちで取り組むことは厳禁であり、限られた文字数の中で自分自身の熱意がしっかり伝わるように一字一句にこだわって慎重に書かなければなりません。しかも採点官は1シーズンに何十枚も読んでいるはずですから、その中でいかに光る文章を書くかということも念頭に置かなければなりません。
こうした観点から志望理由書、エントリーシートにおいて避けなければならないNGワードを取り上げたいと思います。共通するポイントは「何にでも当てはまってしまい具体性がないこと」です。私が添削をしていて最も多く目にするのが、「社会に貢献したい」という表現です。確かに、何のために大学に進学して学ぶのかと言えば、将来社会人として自分が望む道に進んで目標を実現するためでしょう。しかし、どんな道に進んだとしても世の中の仕事は全て社会貢献に繋がっており、ただ「社会に貢献したい」と述べるだけでは具体性が全く伝わらないのです。そこで、もっと具体的に深く考えて「どのような立場から」「どのような仕事を通じて」「誰にどう貢献したいのか」を述べるようにします。例えば、経済学部でマーケティングの専門性を身につけたいとした場合、民間企業で生かすのか、行政機関で生かすのか、あるいは学者として研究するのかといった立場が考えられます。さらに民間企業とした場合、IT、食品、自動車、ファッション、医療、金融、観光など業種は様々であり、営業、企画開発、広告宣伝など職種にもいろいろとあります。したがって、自己分析をしっかりと行った上で「どの分野において」「どういう立場から」「何をしたいのか」という社会貢献の中身を具体的に述べなければならないのです。
また、同じような表現として「グローバルに活躍したい」「グローバル社会で役に立ちたい」という言い回しが挙げられます。社会貢献に比べて一歩具体性はありますが、やはり何にでも当てはまってしまいます。例えば、民間企業での仕事を考えた場合、ITでも自動車でもファッションでも金融でも今やグローバル化は当たり前のことです。したがって、「グローバル社会で何にたずさわって何をしたいのか」「どのような活動を通してどんな人にどんな貢献がしたいのか」という中身を述べなければ具体性が何も伝わらなくなってしまいます。また、ここでの内容は語学力の習得はもちろん、留学でどこに行きたいのか、何を学び、何を身につけたいのかといったポイントにも結び付いてきますから、論理的に首尾一貫した考えと表現が必要になります。今やネットを探せばあらゆる情報を簡単に手に入れることができ、いかにもそれらしい内容の文章は誰でも書くことが可能です。だからこそ、自分の目標や自分の活動に落とし込んでいるかがとても重要であり、それが出来ているかどうかも簡単に判明してしまうのです。誰でも書けそうな、誰もが書きそうな文章にならないよう自分自身をじっくりと見つめた上で書き出すことが、評価される志望理由書やエントリーシートには欠かせないのです。